ー 浪曲のジャンルを捉え直す
第1回(全5回)ー
浪曲は、
ジャンルの名前だけを見ると、
取っ付きづらく感じます。
股旅物と聞くと、
旅に関することかな、
と予想はついても、
なんとなく古いイメージがします。
しかし浪曲は
「 人間ドラマ 」
を扱う音楽芝居です。
より芝居にのめり込めるように、
「 節(ふし) 」や「 啖呵(たんか) 」
で工夫された、
「 人間ドラマ 」の共有装置、
それが浪曲です。
ですので、
現代的な題材を扱うこともできます。
もちろん、
伝統的な題材も扱います。
「 温故知新 」
という言葉があるように、
伝統的な題材も、
現代風なセンスで味わえるように
アレンジすることも可能です。
浪曲はいつの時代でも通用します。
今回はそのヒントとして、
浪曲のジャンルを捉え直してみた、
第1回です。
※浪曲のジャンル一覧については、
こちらを参考にどうぞ。
浪曲の魅どころ 「 2つのポイント 」
http://trend-doujyou.blog.so-net.ne.jp/roukyoku1
(最下部見出し・トレンド川柳の手前)
「仁侠」物
「 仁侠 」ほんらいの意味は、
五徳(仁・義・礼・智・信)
のうちの仁義を重んじることです。
仁とは人間としての心、
義とは約束事です。
仁義を重んじるとは、
人間としての気持ちや
約束を守るために、
体を張ることです。
つまり
「仁侠」物は、
「 仁と義の徳 」を扱った物語です。
「 人としての心 」
「 約束事の大切さ 」
現代にも通じることですよね。
ドラマや小説で、
思い浮かぶ作品があるでしょう。
私は
「 走れメロス 」を思い浮かべました。
あなたの思い浮かべた作品は、
なんでしょう。
人によって思い浮かべる
作品は違えど、
その「 人間ドラマ 」は、
いつの時代でも通用するはずです。
「 走らないメロス 」はただの人です。
葛藤しながらも、
約束を果たすために無茶でも挑戦をする。
だからこそ、
「 人間ドラマ 」が生まれるのです。
「股旅」物
「股旅」とは、
博徒や芸人が稼ぎながら、
諸国を股にかけて旅することです。
ここでいう国は、
今でいう都道府県に相当します。
股旅を今風にいうと、
地方巡業でしょうか。
つまり「股旅」物は、
稼ぎながら旅する物語です。
交通機関の発達や道の整備によって、
現代日本での旅は、
昔ほど大変でも危険でもありません。
そうすると、
「股旅」物の魅力が薄くなる
気がします。
しかし「股旅」物は、
広く捉えると、冒険物といえます。
冒険物は、今でも人気ですよね。
映画やドラマ、アニメ、
小説などなど。
テーマとしては、
勇気やチャレンジ、
そして成功でしょうか。
勇気をもってチャレンジし成功する
そんな話はみんな好きですよね。
誰でも成功したいでしょうから。
「 冒険物語 」は、
いつの時代も人気のジャンルです。
「白波」物
「白波」とは、
海の白波ではありません。
盗賊のことです。
元々は、
中国の三国志の頃に、
白波谷(はくはこく)という場所にこもった
黄巾盗を
そう呼んだそうです。
その黄巾盗を退治する過程で、
劉備、曹操、孫堅ら英雄が、
力をつけていくのでしたね。
「白浪」つまり盗賊は、
現代風にいうと、
「 ルパン3世 」も
「白浪」物でしょうか。
「 ルパン3世 」は、
シリーズ化されるほど
人気ですよね。
好きなキャラクターも
人それぞれでしょうし、
好きな話も人それぞれです。
「盗賊」物とはいっても、
物騒な印象はありませんよね。
ルパン三世といえば、
銭形警部とルパン3世の
コミカルな掛け合いも魅力ですね。
「盗賊」物で
ちょっと古いものだと、
「 怪盗21面相 」もそうでしょうね。
こちらも、
探偵と怪盗の対決が見所ですね。
時代劇だと、
「 鬼平犯科帳 」もそうですね。
題材は同じ「盗賊」物ですが、
色のつけ方しだいで
受けるイメージが変わります。