ー浪曲のジャンルを捉え直す
まとめの後編(全3回)ー
前回までで浪曲の大きな軸のうち、
関係性(事)が軸のジャンル、
人物(集団)が軸のジャンル
を取り上げました。
今回は残り2つのジャンルを取り上げます。
人間の根源が軸のジャンルと
馴染みのある素材が軸のジャンルです。
両極端ともいえる2つの軸ですが、
ともに人間の側面です。
人間の根源が軸のジャンルとは?
人間の根源が軸のジャンルとは、
人間が人間であるために起きる
物語です。
浪曲のジャンルとしては、
「怪談・怪奇」物です。
「怪談・怪奇」物は、
「 未知との遭遇の物語 」です。
未知との遭遇は、
人間を行動的にさせるキッカケになります。
そうみると、
「 人間の行動力に関わる物語 」
ともいえます。
未知と遭遇し行動することは、
人間の進化の根本的なキッカケになります。
そうすると「怪談・怪奇」物は、
「 人間の進化の源泉を軸にした物語 」
となります。
人間の進化の源泉は、人間の根源です。
進化するからこそ、
動物から人間になりました。
人間が人間であるためには、
未知な物と接触し、
それを自分の中に吸収する
必要があるのです。
新しい物事を身につける時は、
まさに進化しているのです。
その進化のキッカケは、
未知への恐怖であったり、
未知への好奇心であったりします。
そのどちらも、
人間にとって根源的なものです。
観客の心の深い部分を動かせるか、
それが全てです。
馴染みのある素材が軸
馴染みのある素材が軸のジャンルとは、
慣れ親しんだ素材に
浪曲なりのアレンジをした物語です。
浪曲のジャンルとしては、
「世話」物・「歌舞伎」物
「浄瑠璃」物・「落語」物
「赤穂義士伝」
「大岡政談」シリーズ
「姿三四郎」シリーズです。
世話」物は、
「 普通の人の日常を軸にした物語 」です。
大抵の人にとって馴染みのある日常
が素材です。
淡々としがちな日常に
ドラマをどう見出すかが全てです。
世話」物・「歌舞伎」物
「浄瑠璃」物・「落語」物
「赤穂義士伝」
「大岡政談」シリーズ
「姿三四郎」シリーズは、
「多くの人に馴染みのある物語」です。
もっとも現代においては、
馴染みのない人も多々いるでしょう。
しかしこのあたりは、
完成したコンテンツであれば、
何でも素材になります。
現代で有名な作品を素材として使えば、
その全てが浪曲になります。
それをどう浪曲なりに料理するか、
それで全てが決まるジャンルです。
慣れ親しんだ素材ですので、
味付けが全てです。
「滑稽」物は、
「 笑える定番の物語 」です。
緊張していては、笑えません。
その意味で、慣れ親しんだ素材が軸
のジャンルに入れました。
また、
定番物であるべきということからも、
こちらのジャンルにしました。
いつでも笑えること、
誰でも笑えること、
どこでも笑えること、
どんな情況でも笑えること、
笑える物語であることが全てです。